M : 完全に今のロックはアニソンとかアイドル・ソングの制作チームやトラック・メーカーの人間に押されているような気がします。 最初みんな「えっ? 」っていう衝撃と驚きがロックンロールだったのに、今はとにかく”まともに聴けるロックンロール”自体がまずおかしいんですよ。それをこっち側が危機感に 思ってないっていうことは非常に問題で、それでは廃れてしまうし、マーケットの勢いも下がっていってしまうわけですよ。今の(日本の)ロックのメイン・ス トリームは音楽的にはアメリカのエモとかパワー・ポップやイギリスのRadiohead的 なもののエッセンスのみで成立してしまって、あとは歌詞の深さだけを競ってる。そんな音楽を量産し続ける必要性はそんなになくない? と思うんです。それなら、レベルの高いアニソンを聴いてる方が新鮮だし、刺激はある。売れればOKっていうのであれば、それはそれで全然いいとは思います し、それはそれで重要だとも思いますけど。

——他に刺激的だと思う音楽シーンはありますか?

M : 最近は、初音ミクとかニコ動のシーンから出てきている音楽がとても新鮮ですね。あそこで頑張っている人たちは一日普通の仕事 をしていたり、ニート的な生活を選択している人だったりしますけど、プロに片足突っ込んでるような人もいて、それが仕事の合間に作ってるわけじゃないです か。だから、2、3時間でトラック全部作ったりとかするわけですよ。その労力を考えると、僕らが一括りにされているいわゆるメジャーなシーンには(彼ら は)興味がないわけじゃないけど、新鮮さや勢いで言ったら興味のあるものが少なくなってきてしまっているって危機感もあるわけですよ。大変な仕事の後に、 聴いてる人のニーズとかも考えながら自分で曲を作ってみんなに届けようっていう発想は、並大抵の努力じゃできないことですから。

今の若い人たちは日がなニコ動で上げられるぐらいの曲を作りつつ、バンドもやってずっと楽器も触りつつ他の仕事をしてるでしょう。これ以上の向上は ないと思うんですよね。みんなすごくがんばってるから、キラキラしてますよ。そういう若い人たちは入れ替わり立ち替わりでどんどん空気の入れ替えがされて る世界だから… そういうものがこっち側(メジャー)には少なくなってきている気はするので。可能な限りこっち側が刺激的にならないとならんなとは思いますけどね。それを 考えると、バンドで週に一回練習して、ライブ・ハウスをブッキングしてっていうんじゃ間に合わないと思います。僕らが1ヶ月に2、3曲作ってっていうのも 全然遅いって思うわけです。『DAWNS』の制作もデモを作る期間が2週間弱ぐらいあって、20何曲作りましたけど、それでも遅いと思ってるんですよ。一 日3曲ぐらいミックスできるようなスキルが欲しいぐらいです。